Informal Transportation Challenges and Innovations in World Cities
住みやすい都市と強靭なインフラ
持続可能なサプライチェーン

世界各都市のインフォーマルな交通における課題とイノベーション

新興国の市街地道路の特徴といえば、個人事業者による小型車両を使った営業運行です。これらの小型車両により、インフォーマルな運輸セクターが形成されています。スリランカのトゥクトゥク(三輪車)、シエラレオネのポダポダ(ミニバス)、ナイジェリアのオカダ(バイクタクシー)など、呼び方や使用される車両は様々ですが、これらに共通しているのは、不可欠な移動サービスを提供している一方で、都市交通がもたらす最悪の副作用の一部を悪化させている点です。

ナイジェリアの交通渋滞

ナイジェリアのラゴス州政府は今年初め、アフリカ屈指の巨大都市であるラゴス市における商用オートバイおよび三輪バイクの禁止を発表しました。同市の過酷な渋滞の緩和に向けた最後の一手として、当局では市中のあちこちで見かける「オカダ」と呼ばれるバイクタクシーを主な住宅地およびビジネス街で法的に禁止しました。このため、数百万人の住民が事実上移動することができなくなりました。

クオーツの最近の記事によると、問題は「既存の国営バスやフェリーによる交通サービス、および民間企業が運行するバス便では、[1,500]万人のラゴス住民の移動需要を充たせない」ことにあります。

21世紀に入り世界各国で出現してきた、無秩序に広がる、人口が密集した市街地中心部が抱える典型的な課題が、この例に象徴されているようです。人口の急増に隠れて公共交通機関や自動車の個人所有の課題は存在感が薄れ、その結果、様々な形でインフォーマルな移動手段を提供するビジネスが、欠かせないサービスとなりました。

Australasian Centre for the Governance and Management of Urban Transport(オーストララシア都市交通管理運営センター)の元ディレクター、リー・グローバー氏はこう述べています。「新興国ではインフォーマルな交通が不可欠な機能を果たしており、大量輸送を提供していることがよくあります。このような事情から、大抵の場合、当局もこうした交通機関を容認しているのです」。ただし、インフォーマルな交通に依存している都市は、道路渋滞や大気汚染から危険な道路状況に至る「モビリティの様々な問題に悩まされて」いるのが一般的です。

インフォーマルな交通における真の課題について、グローバー氏は上記の要素すべての「相互作用により、あるシステムが生まれ、そのシステムは混沌としているようで、安定しています。その安定性ゆえに、乗客の移動性向上につながる優れた計画の展開が妨げられるのです」と言います。 つまり、結果的に「サービスを低運賃で直接提供することで、新興国の公共交通機関を弱体化させ、業務の遂行をより困難にしているのです」

トゥクトゥクタクシー

インフォーマルな交通には、その性質上データが十分に集まらないという課題もあります。International Association of Public Transportation(国際公共交通連合:UITP)のレポートでは、このことで当局による運営の向上に向けた支援が届きにくくなっていると報告されています。規制当局はこのセクターの複雑さに対する認識の低さのため苦境に立っており、交通量の制御または運賃の統制に力を入れています。

UITPでは、インフォーマルな交通セクターの強靭性および持続可能性の向上に向けた知見を提供するため、同セクターの強みと弱みを特定しました。

強み:都市部の住民数百万人を輸送する、移動手段の柔軟な選択肢を提供する、変化に富む、機動性・適応性が高い、補助金が軽微、イノベーションの余地がある、雇用機会が提供される、コロナ禍で人とモノを移動させるという不可欠なサービスを提供した

弱み:社会的セーフティネットが低水準または皆無、規模の経済によるメリットがない、イノベーションまたは効率性の改善に向けた資金へのアクセスが限られている、品質基準、影響への認識が不足している、地域が限定される、データと業界に関する専門知識が不足している

公共交通機関のイノベーションについては、新興国各国の新興都市で事前予約・支払い・スケジューリング・リアルタイムのデータアプリなどの優れたモデルがすでにあります。しかし、インフォーマルな交通に焦点を合わせた適用例は少数です。

WhereIsMyTransport(ウェア・イズ・マイ・トランスポート)

そうした中にあって、WhereIsMyTransport(ウェア・イズ・マイ・トランスポート)社は、様々な交通機関のネットワークを結びつけてデジタル化・一元化し、誰もが利用することができるようマッピングすることに特化しています。

同社では「地域公共交通のネットワークをすべてマッピングし、様々な活動拠点から提供された特定の場所のデータを生成し、道路およびモビリティのネットワークから提供されたリアルタイムの注意喚起」を行います。

データの取得は、パズルの1ピースにすぎません。目指すべき点と公共政策は、地元のステークホルダーとの間でまだ明確に定義されていません。また、包括的な変革戦略に向けた創造的かつ持続可能なソリューションへの道筋も依然として不透明です。

この重要なセクターを改革するためには、どのようなイノベーションが必要だと思いますか?インフォーマルな交通機関に乗ったことがありますか?いつ、どこで?ぜひ、ご意見をお聞かせください。

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