
デジタルソリューションとデータの責任
モビリティ分野でのブロックチェーンの未来:近く実現が期待される用途TOP5
モビリティ業界では一連の大転換が起こっています。電動化、デジタル化はその一部にすぎません。製造業者は、この急速に変化する環境に対するソリューションを見つけるため、必死に取り組んでいます。
ブロックチェーンとは何か?
モビリティ業界では一連の大転換が起こっています。電動化、デジタル化はその一部にすぎません。製造業者は、この急速に変化する環境に対するソリューションを見つけるため、必死に取り組んでいます。
ブロックチェーン技術は、サプライチェーン、物流からスマートマニュファクチャリング、IoT (モノのインターネット)まで、産業のすべての要素を定義し直す可能性をもっています。
簡潔には、ブロックチェーンとは、安全で、不正防止に優れ、透明性をもった、複数の関係者間取引のデジタル記録のことで、同技術により情報を記録し分散することができます。
Fuso GreenLabは過去の記事で、ブロックチェーン技術とは何なのか、またどういう仕組みなのかについて簡単に説明しています。
読む:ブロックチェーンとは何だろうと思っていませんか?そう考えるのはあなただけではありません。ブロックチェーン技術の簡易ガイド
本記事では、モビリティ業界において、ブロックチェーン技術が変革による混乱をもたらす可能性のある5つの領域に注目します。
サプライチェーン物流
自動車メーカーは、その事業性から多くの部品を扱い、その部品数は車、トラックで3万点から10万点超に及びます。グローバル化によりサプライチェーンは非常に複雑化し、関係者間の情報共有が発展した一方で、「複雑な取引を含む大きなサプライチェーンでは、視認性がまだ課題として残っている」とHarvard Business Reviewは記しています。
ブロックチェーンは、サプライチェーンのトレーサビリティ強化に利用可能です。例えば、欠陥品が見つかった場合、影響を受けるのはどの生産バッチの車両か、さらにその部品がどこから調達されたのかを素早く特定することができます。
さらに、ブロックチェーン上で主要なサプライヤーと協力企業に在庫品の流れを共有してもらうことで、サプライチェーンの混乱を低減できます。このことで各企業は、共通かつ完全な情報に基づいた判断が可能です。
Walmart、 De Beers、 UPS 、FedExなど、多くの有力企業はすでにサプライチェーンマネジメントでブロックチェーンを活用しています。
Harvard Business Reviewは、「[サプライチェーンの管理者]は共同で、新規則の策定、異なる技術の試験、様々なブロックチェーンプラットフォームでのパイロット実施、他社と協力したエコシステムの構築に取り組む必要がある」とまとめています。
走行距離計の改ざん防止
コネクテッドカーへのブロックチェーンの適用でよく議論されているものに、走行距離記録用の同技術を使ったデータベースがあります。欧州議会までもが、ブロックチェーンを走行距離計の改ざん防止の解決策として挙げているほどです。
欧州議会の走行距離計改ざんについての報告書には、「車のエンジニアリングおよびエレクトロニクス業界が現在提案するブロックチェーン技術によって、車両からの走行距離とGPSデータをダウンロードし、その情報をデジタルログブックに保存することができるようになる」との記述があります。さらに、同報告書は、欧州連合の中古車市場で取引される10%-50%の車は走行距離計が改ざんされているとしています。
コネクテッドカーには、ブロックチェーンに頻繁に走行距離を記録するスマートオドメーターの装備が可能であり、それによって安全なデジタル証明の作成、および表示値の信ぴょう性の確保ができます。加えて、ブロックチェーンに車両のメンテナンス履歴を入れることも可能であり、その結果、より正確で完全な車両履歴を得ることができます。
自動車保険
ブロックチェーンの保険への適用先は数多く存在します。同技術は車両情報の確認に利用できることから、もし同技術が車両のブラックボックスに統合されれば、顧客が車両運転時のみ保険を支払うということが可能になります。自動デジタル記録がついた車では、容易に使用期間を把握し、それに見合った金額を適用することができます。
保険会社と当局が、車の速度、スロットルの位置、ブレーキの適用状態などの情報を素早く入手できるようにすることで、事故後の争いの解決にも役立つ可能性があります。
IoTによるソリューション
スマートな自動車では、様々な方法でクラウドへの接続が増加しており、通行料金の支払い、買い物、食品配送など、より広範なサービスの拡大につながっています。ところが、この利便性の一方で、膨大なユーザーデータの集約的な性質から、セキュリティの問題が生まれています。しかし、IoT機器が相互接続したブロックチェーンのネットワークでは、中央データベースは不要であり、非中央集権型(分散型)ネットワークによって、正確で安全なデータ転送を瞬時に行うことができます。
ピアツーピア(P2P)のシェアリングエコノミー
Investopediaでは、ピアツーピア(P2P)は第三者の仲介なしに、2人の個人が互いに直接交流する非中央集権型のプラットフォームとされています。シェアリングエコノミーの一部には、遊休資産の共同利用を目的とした短期的なP2P取引が含まれます。
ブロックチェーンは、ユーザーが記録を利用及び共有できるようにすることでP2Pの成長を促進していることから、特に車両のシェア、レンタル、リースという点で、同技術はモビリティ市場の支援にもなりえます。
Forbsの記事では、ユーザーデータの記録を取ることで、保険契約、および個人的設定と好みの車両との紐づけ、また紐づけ解除が可能だと述べられています。これは、カーシェアリングの環境にとって大きな利点です。
ブロックチェーンが、P2Pサービスを実現する主要技術となっているだけでなく、都市密度の増加のような構造的要因は、潜在的な現地ユーザー、車両提供者、アクセスポイントの増加により、P2Pモビリティモデルの利用者基盤とインフラの拡大にもつながることになります。
モビリティ業界はブロックチェーンを受け入れるか?
ブロックチェーン技術をモビリティ分野で幅広く実現するにあたり、真の課題が存在します。モビリティ向けの同技術によるソリューション開発に十分なインフラ、持続可能性、熟練した専門家とはどういうものか、まだ明らかではありません。さらに、別途課題として技術移行の費用と収益性があり、それを除いたうえでも上記の課題が存在します。
Fuso GreenLabは今後、ブロックチェーンの応用と開発中のソリューションに関連する環境、およびオペレーションの課題を探索し、解決していきます。
ブロックチェーンは業界で注目の的となっています。
最大規模の自動車メーカー数社を含む大企業の多くは、コネクテッドカーとIoT応用向けの標準およびデジタルインフラの構築を目指し、非営利のコンソーシアムMOBIに参加しています。
ブロックチェーン技術はみなさんの周りの車へと近づいてきているようです。
みなさんはブロックチェーンでどのような経験をお持ちですか?モビリティへの応用で、その最適な活用法とはどのようなものでしょうか?
Fuso GreenLabは未来のアイデアを常に探しています。革新的なアイデアを常に取り入れようとしています。みなさんのピッチをぜひこちらから送ってください。
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